不動産コラム

2021/11/11不動産コラム
商業地>住宅地>工業地 が、常識でなくなる。

土地の単価は、商業地が最も高く、住宅地がその次、工業地がその次に続き、農地、山林・原野と続く、というのが経済原理から見た「常識」となっています。これは、商業地域はまず駅周辺などの市街地の中心部に形成され、その周囲に住宅地域が形成され、工業用地は町の中心から離れた臨海部や内陸の平野に形成される、という都市開発論の原理・原則から考えられたものです。バージェスの同心円モデルとか、ホイトのセクターモデルとか、いろいろな都市経済論から理解されている土地の価格形成の原則です。

しかし、どうも現代の日本では、この「常識」は、東京や大阪などの大都市の中心部以外には、必ずしも当てはまらないようです。
 駅の周りに商業地が形成されるのは、弊社のある神奈川県では大体当てはまりますが、地方都市では駅周辺は閑散としており、幹線道路沿いの大型商業施設の周辺に「パワーセンター」と呼ばれる低層の店舗群が形成されることが多いようです。そうすると、郊外型の大型店が立地し得る場所に商業地域が形成され、必然的に路線商業地の価格形成が標準的になります。路線商業地の商業施設は低層低密度で、広い駐車場の屋外空間が必要となるため、周辺の住宅地の単価よりも低くなる傾向があります。
 工業地についても、かつては「重厚長大」と言われる重化学工業の用地が「工業地」としてイメージされ、町の中心部から遠い港湾部や、内陸の幹線道路周辺に新たに造成された広大な平野に形成されることが多く、必然的に地価が安い(だからこそ立地する)ところが選ばれたのですが、近年は「工場」と言ってもちょっとした事務所ビルよりよっぽど高機能な建物が並ぶ研究施設のようなもので、通勤する人も周辺に交通拠点や購買・飲食する場所を求める(これらも広い意味での「インフラ」)ため、町の中心部に近い場所が選ばれるようです。

全国的な人口減少から、住宅需要は長期に縮小しており(地価が上がり得るのは新築マンションが建設され得る立地の用地価格だけ)、工業用地の単価が周辺の住宅用地の単価より高くなる、あるいは商業用地の単価が利便性のよい周辺の住宅用地の単価より低くなる、という例は珍しくなくなりました。
 商業地>住宅地>工業地という"かつての常識"は、既に当てはまらなくなっている、と理解する必要があるかもしれません。 

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