遺産分割における時価判定
遺産分割とは、共同相続の場合において、相続分に応じて遺産を分割し、各相続人の単独財産にすることです。
相続時の遺産分割における財産の評価額については、「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額」(民法903条)とされています。
遺産分割における時価とは?
遺産が現金や株券ばかりであれば、財産がいくらであり、どう分けるべきかはすぐに分かります。しかし、不動産はそのままの状態でいくらであるのか、分かりにくいものです。
遺産分割における簡便な時価評価としては、相続税や贈与税の申告における相続税評価額(路線価による評価など)や、固定資産税評価額が利用される場合があります。
すべての相続人間で合意すれば、そのような簡便的な評価による遺産分割も可能です。
しかし、相続争いがある場合、疎遠になっているなどの場合や、仲が良い場合でも公平に遺産分割を行いたい場合には、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼することによって、適正な時価を算定し、これに基づいて遺産分割を行うことができます。
特に、鑑定評価が重要となるのは、不動産を取得したい人が複数いて、その分割の仕方によっては価値が大きく変わるときです。
遺産分割において土地を2つに分割するときに、道路沿いの整形地と道路の奥の土地(袋地、旗竿地)に分かれるようなときには、両者の使い勝手が大きく違います。法令上、建築可能な建物も違うことがあります。したがって、価値も大きく異なります。
また、同じ不動産であっても、更地の場合、建物が建っている場合、建物を貸している場合、区分所有マンションの場合、それぞれ時価の求め方は異なります。
不動産鑑定士は、これらの点を分析、検討することにより、どう分ければ公平になるのか、様々なシミュレーションをすることで、分割方法をご提案することが出来ます。