面積の広い土地の評価

面大地と広大地

面積の大きな土地のことを一般に「面大地」や「大規模画地」といいます。
一方「広大地」とは、国税庁の財産評価基準によって規定されているものであり、その地域の標準的な土地と比べて面積が大きい土地のうち、一定の要件を満たすものをいいます。

国税庁財産評価基準における広大地について

国税庁の財産評価基準による広大地の算定方法

※この記載は、平成29年12月31日以前の相続発生に限ります。

広大地認定されると相続税の申告に際し、以下の式で評価額が算出されます。
標準的な土地と比較すると40数%から最大65%減額されます。

広大地補正率は上記の式で計算され、土地の面積に依存します。(5000㎡以上の場合は広大地補正率下限である0.35として計算)

広大地認定される条件

広大地認定されるための具体的な要件は、以下のとおりです。

  1. ①戸建分譲適地であること(マンション、大規模工場適地ではないこと)
  2. ②分譲時に道路等の公共公益的施設を配置する必要があること
    面積については、厳密に規定はされていないものの概ね3大都市圏の市街化区域で500㎡以上が多いようです。

広大地判定が否認されるケース

広大地認定が否認される例としては以下のような場合が挙げられます。

  1. ①マンション適地等と判定される場合(基準容積率300%以上の場合は原則否認。)
  2. ②間口が広く、奥行の浅い土地

  3. ③区画整理や大規模開発分譲地等に見られる土地(二方路、三方路、四方路)

  4. ④開発指導等により、道路敷きとして一部土地を提供しなければならない土地

  5. ⑤旗竿開発が合理的と認められる土地

面大地における鑑定評価について

鑑定評価では、面積の大きな土地については、国税庁財産評価基準における「広大地」か否かに係わらず、以下のようなプロセスで価格を判定します。

1. 標準的使用の判定

標準的使用とは、その土地が存する地域の標準的な使用方法をいいます。例えば、戸建住宅が建ち並ぶ地域における標準的使用は戸建住宅地となり、高層事務所ビルが建ち並ぶ地域の標準的使用は高層事務所ビルの敷地となります。不動産には地域性があり、地域環境の影響を大きく受けることが多いため、まず、その不動産の存する地域の標準的使用を判断します。

2. 最有効使用の判定

最有効使用とは、その土地について、一番良いと考えられる使い方のことをいいます。同じ地域に存していても不動産の規模が異なると、最有効使用は異なる場合があります。戸建住宅地域における面大地は標準的使用と最有効使用が異なるパターンといえます。この場合、地域の標準的使用は戸建住宅用地ですが、その不動産の最有効使用は戸建分譲用地やマンション開発用地等と考えられます。これにより適用する手法も異なってきます。

3. 主たる需要者(買手)の判断

標準的使用及び最有効使用の判定にあたっては、その不動産を買うのは誰であるかについて考えます。住宅地域における面大地の場合、主たる需要者は、戸建、マンション等の開発業者と考えられます。

4. 適用手法

次に具体的に鑑定評価手法を適用します。戸建住宅地域に存する面大地については、取引事例比較法、収益還元法(土地残余法)、開発法の3手法が適用されます。それぞれ異なった側面から価格を求めようとするものですが、実務上主に重視されるのは開発法となります。

5. 開発法

開発法は地域の標準的な土地の面積と比較して大きい場合に適用される手法です。
この手法は、不動産開発業者の視点から不動産の価格を求める手法であり、分譲販売収入から逆算して土地価格を求める手法です。
面大地のような土地を購入するのは主に不動産開発業者となるため、実務上、重視されることの多い手法です。土地を分割する際に発生する道路、公園等の潰れ地や不整形地(旗竿地など)について、詳細に土地の価格を把握し得る手法となっています。

6. 収益還元法(土地残余法)

収益還元法のうち土地残余法は、土地上にマンション又はアパートを建設し、賃貸することを想定して、これにより発生すると予測される賃料収入を基に土地価格を査定する手法です。戸建住宅地域においては、一部の例外を除いて基本的には賃料収入が安くなり、土地残余法による価格(収益価格)は低位になることが多いです。

7. 鑑定評価額の決定

開発法による価格をはじめ、取引事例比較法による価格(比準価格)、収益還元法による価格(収益価格)について、それぞれ価格査定の精度や説得力の違いを相互に比較検討して調整し、価格(鑑定評価額)を決定します。


このように、国税庁財産評価基準で広大地と認定された場合には、同基準に則して機械的に相続税評価額が求まりますが、不動産鑑定評価では、広大地判定の如何に係わらず、個々の不動産について、個別的に分析・検討し、価格(鑑定評価額)を判定しています。

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