不動産コラム

2026/01/02不動産コラム不動産ニュース解説
長期金利の上昇は、インフレの熱冷まし。

明けましておめでとうございます。

年初から縁起が悪いかもしれませんが、インフレと金利の話です。新発10年物国債の利回りが、2.0%に近い水準で推移しています。
 これについて、インフレだから金利が上がる、という論調をしばしば見かけますが、これは因果関係が逆です。正しくは、インフレを抑制するために金利が上がっている、という関係です。

金利とは、中央銀行が金融政策として操作する代表的な政策手段であり、需要や資金供給を調整する役割を持ちます。金利を低く抑える政策手段はいくつも存在しますが、インフレを抑制するための有効な政策手段は、実質的には利上げしかありません。

金利を低位に抑えたままにすると、資金供給が過剰となり、需要が拡大し、結果としてインフレが加速・暴走するおそれがあります。そのため金融当局は、意図的に金利が上昇する方向へ誘導します。金利は、いわば経済におけるブレーキです。インフレという上り坂(物価上昇圧力、すなわち需要超過)を制御するために、金利というブレーキを踏んでいるのです。

別のサイトで、インフレと円安について論じた記事を書いたことがありますが、それは今から約14年前のことでした。2011年3月4日(東日本大震災の一週間前)に掲載した記事です:

https://agora-web.jp/archives/1267233.html

当時を懐かしく思います。

インフレは、いわば高熱のような状態です。経済全体(一国経済、あるいは共通通貨圏全体)が罹患し、広範な主体が等しく負担を強いられます。これに対してデフレは、低体温症や慢性的な冷え性に近い状態だと言えるでしょう。
 デフレでは、特定の部位(特定の産業や企業)に痛みが集中し、場合によっては外科的処置が必要になります。大多数の人には深刻な影響が及ばない一方で、痛みが一部に集中するため、雇用不安や地域経済の停滞といった形で社会不安を生じます。
 デフレは末端の構造的な疾患であるため、丁寧な止血や消毒、マッサージに相当する個別企業の改革が必要となり、場合によっては外科手術、すなわち倒産や法的整理も避けられません。治療には長い時間を要します。
 インフレへの対応は、金利を引き上げる(解熱剤を投与する)ことで短期的に経済全体の負担を軽減し、経済が本来備えている回復力、すなわち生産力の向上を待つ、というアプローチになります。

「高圧経済」とは、インフレという熱をある程度許容しつつ、解熱剤である利上げを最小限に抑えながら、体力(生産力)を強化して病原に対抗しようとする政策運営を指します。しかしこれは、微妙なバランスの問題です。
 解熱剤なしで自然回復できるのであれば理想的ですが、まったく投与しないのは愚策でしょう。金利は「自然に上がるもの」ではなく、「政策として上げるもの」です。インフレという自然現象に対抗するには、金利を引き上げて通貨価値の下落を抑えつつ、生産を拡大することで財やサービスの相対的な価値を下げる以外に道はありません。

インフレという上向きの重力の坂道を、ブレーキを踏まずに走り続けるような政策運営は危険であり、絶対ダメ、でしょう。

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