不動産コラム

2013/05/10不動産コラム
不動産の価格の三手法

こんにちは。
五月も半ばになりました。
暑いですね。僕は暑がりなので毎年夏がくるのが怖いです。


さて、以前このブログで不動産の価格が不動産の効用・相対的希少性・その不動産に対する有効需要によって形成される、という話をしたのですが、
今回はその続きを書いていきたいと思います。
4/5日ブログ→https://www.fg-k.com/column/20130405.html

一般にモノの価格は、価格の三面性(多面性)により形成されると言われています。価格の三面性っていうのは、収益性・費用性・市場性の3つをいいます。
不動産の価格についても、この価格の三面性を考慮して価格を判定します。

不動産の価格の三面性について大雑把に説明すると、

収益性では、その不動産を活用して将来どれだけの利益を得られるか。
費用性では、その不動産を今買ったら(建直したら)いくらかかるか。
市場性では、その不動産と類似している不動産等が実際にいくらで取引されているか。

という観点からそれぞれ価格を査定していきます。
この説明、以前のブログでも同じようなことを書いていまして、
不動産の効用・相対的希少性・不動産に対する有効需要というのは、
収益性・費用性・市場性にそれぞれ対応しています。

そして、不動産鑑定士が価格を査定する際に活用する基本的な三手法も
この価格の三面性に対応しています。

収益性(不動産の効用)は収益還元法
費用性(相対的希少性)は原価法
市場性(その不動産に対する有効需要)は取引事例比較法

不動産鑑定士はこのような手法を活用して不動産の価格を判定します。


収益還元法

さらにいくつか細かく分類されますが、基本的なものを直接還元法といいます。
この手法は1年間あたりの収益から費用を引いて、1年間あたりの正味の収益(純収益といいます)を求め、これを還元利回りで還元して価格を求める方法です。

不動産から得られる収益は、賃料収入がわかりやすいですね。
費用は、壁のペンキを塗り替える、エアコンを取り替える、固定資産税を払うなど、こういった不動産を保有していることで生じるものです。
純収益は、収益から費用を引いたもので、通常1年あたりで把握します。
還元利回りは、純収益を価格で割ったものです。
例えば、毎年80万円の純収益が得られる不動産を1000万円で購入した場合、還元利回りは80万円÷1000万円で8%となります。

こういう計算をして価格を求めます。

還元利回り=純収益÷価格
価格=純収益÷還元利回り←収益還元法

この価格を収益価格といって、賃貸用不動産等の収益物件の場合に特に重視されます。純収益や還元利回りの査定の如何によって価格も大きく変わりうるので、不動産鑑定士の豊富な知識と経験が必要となるところですね。
僕には両方不足している部分でもあります。


原価法

再調達原価に減価修正して価格を求めます。

再調達原価は今買い直したらいくらかかるか、というもので、通常その不動産の上限値を表します。
減価は時の経過による経年劣化、管理状況が悪いこと等の原因により、新品の状態と比べてどのくらい劣っているかをみます。

こんな計算になります。

価格=再調達原価-減価修正

この価格を積算価格といいます。自己保有資産の買替えや建替えを検討する際には、積算価格を重視することが考えられます。

取引事例比較法

調査する不動産(対象不動産といいます)と使い方や大きさ、立地条件等が類似している不動産が実際にいくらで取引されたかを把握し、対象不動産との格差(角地とか駅までの距離とか)について比較して価格を求めます。

この価格を比準価格といいます。
市場で実際に取引された価格を基に対象不動産の価格を査定するため、市場性を反映した価格といえます。


この他にも、借地権の評価の際にはまた違った手法を適用したり、賃料を求める場合の手法もあります。
色々ありますがそれぞれ理屈があって、面白いなって思います。
また少しずつ紹介していきたいと思います。

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