不動産コラム

2019/07/19不動産コラム
飲食店の賃料

飲食店経営の格言で「家賃は3日で稼げ」という言葉があるそうです。

1ヶ月の家賃相当額を3日間の売上で賄えなければ、飲食店の経営は難しい、という意味の言葉ですが、賃貸ビルの経営においても、この言葉は参考になります。この「家賃は3日で稼げ」の含意を読み解いてみましょう。

ある飲食店について、年間5日間ぐらい休業すると仮定すると、年間360日で月平均30日営業できます。家賃が1日平均売上の3日分以下ということですから、3÷30=10%。つまり、1ヶ月の家賃は月の売上の10%以下にする、という意味になります。すなわち、飲食店の対売上高賃料比負担率は10%が目安、と解釈できます。

飲食店の家賃水準(坪単価)は、そこで何屋をやればうまく行くか、から逆に推計することができます。

次の算式を見てください:
飲食店坪単価の理論式2.jpg

ファーストフードは「回転数」が極めて高いので、客単価が低くても高い賃料を払うことができ、家主としても優良なテナントです。逆に高級レストランは、客単価は高いのですが、回転数が低く客席1席当りに大きな面積を必要とするので、ビルのオーナーとしては優良なテナントとはなりにくいと言えます。ファミリーレストラン(チェーン店)は、両者の中間と言えるでしょう。以外と高い賃料を払えるのが、パブ・スナックやバーです。客単価が高くはなく回転数も低いのですが、厨房が面積を取らないので、同じ店舗面積でも比較的高い賃料を払えます。

飲食店の賃貸市場が事務所ビルと違う点は、事務所は空間を必要とする会社が複数の空室を比較して入居を決めるのに対し、飲食店の場合は。そこで得られる売上/利益に応じて賃料が決まり、複数の空室がある場合、利益が得られるなら両方に出店する、という違いがあります。このため、飲食店用の店舗空間は、そこでどんな店種の店が想定されて幾ら稼げるのか、を見込んで適正賃料を把握することになります。

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