不動産コラム

2020/02/13不動産コラム
マンションの床面積、いろいろ

英語の「mansion」は、幽霊が出るような豪邸を意味しますが、日本の「マンション」は、都市の一般的な集合住宅の形式として定着しています。フランス語の「masion」は、普通の家を意味するので、それから派生して「マンション」という言葉が定着したのかもしれません。
 ところで、このマンションの床面積ですが、登記面積、壁芯面積、賃貸面積、延べ面積など、いろいろな数値が使われます。それぞれ意味があって区別されているのですが、なにが違うか、どうして違うのか、分かりにくいものです。

まず、登記面積ですが、これは法務局に登記されている建物の床面積で、建物が完成した時点や増築が完了した時点で、土地家屋調査士がその建物の床面積を調べて管轄の登記所に登記した時点で決まります。区分所有のマンション、いわゆる「分譲マンション」であれば、一棟全体の床面積と、それぞれのオーナーが持つ専有部分の専有面積が、別々に決められ登記されます。登記面積は、登記のルールに従って決められるものなので、所有者が勝手に決めたりすることはできません。

次に、壁芯面積ですが、これは分譲マンションにのみ生じるものです。分譲マンションは通常、完成前の工事中に販売されるので、販売される時点では登記面積は分かりません。販売時点では当然、床面積をはっきりさせなければならないので、設計図などから測定して床面積を特定します。これが「壁芯面積」で、多くの区分所有のマンションで、壁芯面積の比率で区分所有者の権利割合が決められているはずです。分譲時点で、完成後の管理規約の案文を作らなければならないからです。
 この壁芯面積は、通常は登記面積よりも大きいので、中古マンション(完成後に売買される区分所有のマンション)を売買するときは、両者の差異に注意が必要です。場合によっては、完成前のパンフレットなどが残っておらず、壁芯面積が分からないマンションもあります。

賃貸面積は、マンションが賃貸されるときに賃貸借契約に記載される貸室部分の床面積です。事務所や店舗の場合、家賃は面積に応じて決まることが多く賃貸面積は重要ですが、住宅の場合には、貸される範囲の面積が幾らであろうと家賃は1戸当りで決まるので、賃貸面積は参考に過ぎません。
 一棟全体を1人のオーナーが所有する賃貸マンションでは、賃貸面積はオーナー(いわゆる大家さん)が各住戸の賃貸面積を決めます。区分所有のマンションを賃貸する場合は、専有部分の登記面積又は壁芯面積がそのまま使われることが多いようです。

延べ面積は、建築基準法に基づき確認申請が行われたとき(設計時)に算出された面積で、一棟全体の床面積です。延べ面積は、そのマンションを建てる際に法令に適合しているかなどを確認するための面積のため、算出の方法が不動産の登記の場合と異なります。このため、登記面積と一致しないことが多く、しばしばその差が取引の際に問題になることがあります。当然、専有部分の延べ面積や、賃貸される部分だけの延べ面積というものは存在しません。

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